■頻度と稼働時間から判断 労働からの解放が保障されていない
介護施設で勤務する看護師の緊急看護対応のための待機時間は、労基法上に規定されている労働時間に該当すると判断された初めての事例です。対応の頻度が高かったこと、その際の稼働時間が30分から1時間であること等、労働からの解放が保障されていないとして、労基法上の労働時間として認められています。
■判決のポイント
原告は看護師として訪問看護利用者や入居者が緊急に看護を要する事態となった場合に備えて、携帯電話機を常時携帯して、利用者からの呼出しに駆けつけ、対応を行う業務を担当していました。
電話は2台あり、「NO.1」という電話を所持した日の待機時間が労働時間であると原告は主張しました。
被告である施設側は、緊急対応を行った頻度は8回に一度であること、実際の稼働時間は30分から1時間であるので、労働時間には該当しないと主張しました。
判決は労働時間といえるかどうかは、最高裁判決のとおり、「使用者の指揮命令下にあるか否かによって客観的に決まる」とした上で、待機時間中に労働からの解放が保障されているかについて、検討しました。
呼出しの電話を受ければ、実際に緊急出勤に至らなくても、相当の対応をすることを義務付けられていたことなど、対応の頻度が高かったことを指摘し、原告の主張どおり、NO.1の携帯電話機を所持し緊急看護対応業務のために待機していた時間を労基法の労働時間として認めました。
■判決の要旨 呼出しの電話を受ければ 直ちに相当の対応をする義務
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