■疾病との因果関係が不明瞭 損害賠償請求を退ける
店舗の料理長であった原告が疾病を発症し就労できない状況に。在職中の長時間労働や定期健康診断の不実施、離職票の送付時期など、損害賠償含めてさまざまに争われました。健康診断を実施しないことは、労働安全衛生法違反ではあるが、不実施と疾病との因果関係は認めず、損害賠償請求を斥けています。
■判決のポイント
飲食店を経営する被告の店舗で料理長であった原告が、平成30年レビー小体認知症を発症。平成31年にはうつ病との診断を受けます。
会社は離職票を送付し、原告がこれを受け取りました。裁判で会社は解雇を気の毒に思い、温情で、退職扱いにする趣旨で本件離職票を送付したと主張。しかし判決は、「原告が退職の意思表示をしていないことに変わりはなく、被告が本件離職票を作成、送付した意図が本件労働契約を終了させることにあった以上、解雇をしたものと認めるのが相当である」と判示。体調不良の状態にあり、労働契約の終了には相応の理由はあるが、休職制度の利用や有給取得手続などの案内をすべきであったとして、解雇は違法としました。
健康診断の不実施については安全衛生法上の違反は認めたものの、疾病の発症の機会や順序が不明であり、定期健康診断の不実施と疾病の発症との間で因果関係を認めることはできないとしています。解雇も含めて、「違法と認められるとしても、それによる損害が認められない」と原告の損害賠償請求を斥けています。
■判決の要旨 制度案内や手続きが不十分 休職制度を案内すべきだった
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