■地位確認請求は棄却したが 転換制度が機能していないのは問題
コース別人事で生じた賃金格差について、職種転換制度が機能していないことが違法として慰謝料の支払いが認められた一方で、総合職としての地位確認請求は、企業に人事権の裁量的判断があると女性労働者の請求を棄却しました。性別による差別的取り扱いについての裁判例として取り上げます。
■判決のポイント
遠心分離機の設置業務やメンテナンス業務を行う会社で、総合職は全員男性で56名。一般職は全員女性で9名でした。
訴えたのは一般職の女性社員2人で、総合職である男性と女性労働者らの処遇格差について、区別は性別のみであるから、労基法4条に違反し、また、原告らを一般職に振り分け総合職への転換を不可能にしていることが、均等法に違反するとして訴訟を提起。総合職にあることの地位の確認と生じている差額の賃金を請求。不法行為に基づく損害賠償として慰謝料各100万円を認めました。
一審判決は、職種転換制度がないことについて均等法6条3号と同条1条の趣旨に違反するとし、慰謝料として2人に各100万円の支払いを認めましたが、総合職としての地位確認請求は、企業の人事権に裁量的判断であると請求を棄却しました。
本判決も原審を踏襲し、職種転換につき運用上の性差別があったと認めました。一方、コース別人事制度は業務内容に由来するものであり、直ちに男女を差別的に取り扱うものとは認められないとしています。
■判決の要旨 定型的・補助的な業務であり 職務内容や責任を異にする
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