■【連載】役員報酬の適正分配率 業績連動式賞与制で年収倍増を⑥ 著者:窪田千貫
1 労使が納得できる適正労働・資本分配率とは
現在または過去における実際労働・資本分配率の構成と算出方法については、前回、説明したが、ここでいう「適正労働・資本分配率」は、過去値ではなく、近未来に向かってあるべき計画分配率のことであり、労使双方と役員報酬および株主配当などを含め、論理的に整合性があり、かつ透明で、納得できる労働、資本分配率のことである。
本来、原価構成比の大きい人件費を、経営効率という側面からみた場合、その合理化の終局的な目標は、投入されるコストとしての人件費総額は、最小化ならしめながら、最大の付加価値または利益成果をあげていくことであるのは、周知のとおりである。
しかし、これは直ちに低賃金化するのではない。労使双方にとって望ましいのは、高能率、高賃金で低コストを実現していくことである。
いい換えると、労働分配率にしろ、逆の資本分配率にしろ、現在から将来に向けて、社員は「ゆとりある豊かな生活と生涯」ができる所得水準並み、ないし、それ以上の月例給与と、業績賞与を受給し、同時に経営側は、自己資本比率を高め、財務体質を強化するに必要な内部留保利益を確保して、不況抵抗力を強化するとともに、将来発展の投資計画に不可欠なキャッシュフローの蓄積とか、借入返済原資の確保や、株主配当原資、役員の業績連動賞与などに必要な利益を獲得できるように、しなければならない。
そこで、適正労働・資本分配率を事前算定するために、第3回で述べた長期、中期、短期経営計画の骨格を策定し、それをベースにして、自社流の適正労働・資本分配率を算定するのである。
したがって、労使が納得でき、双方の合意が必要な分配率は、過去値やその平均値とか、またはラッカープラン、あるいは、単なる思いつきなど、裏付けのない、経営陣の一方的または恣意的なものではなく、現状と明確な方針と計画に基づき、かつ必要なデータ分析と戦略要因などに基づいた科学的な数値を背景にして、その上で労使共同で検討し、算定しなければならない。
2 適正労働・資本分配率を決める条件
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