風土改革成功の秘訣(上)【組織風土改革プロジェクト成功の秘訣】第6回

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■中小企業のための 役割行動主義人事による 組織風土改革プロジェクト成功の秘訣~社員自ら創る行動基準が会社を変える~ 第6回 風土改革成功の秘訣(上)(堀之内克彦:㈱エムケーパーソナルセンター代表取締役、組織風土改革ナビゲーター、社会保険労務士、中小企業診断士 )

組織風土改革の成功は、その核となるプロジェクトの成否にかかっています。前回ご説明した改革4行程(起承転結)の承「課題と方向性の共有」、転「行動基準作成」を担い、その後の人事・賃金制度の設計と運用においても、プロジェクトメンバーがキーマンとなっていきます。

ではどのようにメンバーを選出し、メンバー一人ひとりがモチベーションを高めてプロジェクトを成功に導くチームビルディングができるのか。ここは本連載で特に重要な部分ですので、今回と次回の2回をかけて説明します。

■【実践例】〈心〉を管理者と部下が共有 求めるよりも自分が変わる

従業員40人弱(改革当時)のある専門卸売販売の企業では、立派な経営計画・理念を作成して方針を徹底しようとするものの、反発する社員が多いなど組織風土の問題を抱えていたため、プロジェクトによる改革に取組みました。

特筆すべき重要なポイントの一つは、会社が組織風土悪化の原因とみなしていた「問題社員」数人が、プロジェクトメンバーに含まれていたことです。

結果的に、プロジェクト終了時には全社で7人の昇格・昇進者のうちの6人をプロジェクトメンバーが占め、社内の雰囲気やコミュニケーションの改善をバネに事業は成長。ここ数年で社員数は90人弱まで増えたとの報告を最近受けました。

もう一つのポイントは、最初の段階で「組織課題の分析・共有」をしっかり行ったことです。

事前に外部の視点から私が行った詳細な組織・人材分析のデータを踏まえ、プロジェクト序盤でメンバーが感じる具体的な問題点を出し合って整理・分類した結果、「管理者が役割を果たしていない」という点が浮かび上がってきました。

要因を分析すると、「経営計画書の浸透不足」「職能等級基準の周知・活用不足」「個人・部署の目標進捗管理が不十分」「管理者ごとに会社方針の解釈が異なり指示・指導が不明確」「上司に対する部下の反発」といった諸点が抽出されました。

こうした具体的な問題点の背景として、管理者と部下それぞれの立場から見た「今の心」と転換すべき「新しい心」を出し合い、それぞれの立場で共有し合うことで、課題認識をすり合わせていったのです(図表1)。

プロジェクトの中で、管理者と部下それぞれの立場から課題認識を共有していく

プロジェクト上期終了時の会社側への提案書では、「会社を良くするためには、相互扶助の関係性の構築が必須であり、管理者が力を十分に発揮できる環境構築を目指す事が重要」と整理。メンバーの心の変化として「相手に求めるだけでは状況は変わらない。求められる役割・行動を理解し、自分を変えることが重要」との内容で、全社向けの中間報告を実施しました。メンバー自ら自己の行動変革の重要性に気づいたのです。

プロジェクトが本当にうまくいくのかと様子を見ていた会社も、コミュニケーションの改善や人材が成長していく姿を高く評価し、社内での表彰にも反映されました。

■〈心〉からの課題共有が人を成長させる

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