■男性のために便座を上げるべきという 性別役割分担の意識に基づく言動
トイレの便座は「基本、男性用やから、男性用使わしてもらんやからー、下ろしたもんは、上げといてよ」等の女性労働者への発言は、「性別により役割分担すべきとする意識に基づく発言にほかならない」と指摘。懲戒事由に該当し、戒告処分は相当であると認め、人格権の侵害であるとする原告の訴えを退けています。
■判決のポイント
有料道路の料金所に勤務していた労働者である原告が未払賃金を求めると同時に、会社から受けた戒告処分により人格権を侵害されたとして、不法行為に基づき慰謝料を請求した事件です。
戒告処分を受けた事案はセクハラ発言ですが、トイレの便座を使用後に上げるようにとの女性労働者への発言が、セクハラに該当するかが問われました。
判決は、同社のマニュアルがセクハラについて、他人に不快な思いを与える性的な言動や、女性だからという性別により役割分担すべきとする意識に基づく言動を言う、と定められていることから、原告の「男性トイレを使うのに下ろしたものを、なんで上げてくれないのか」といった発言は、「女性が男性も使用するトイレを使用した場合には、後に使用する男性のために便座を上げるべきという、性別により役割分担すべきとする意識に基づく言動にほかならないと認められる」と認定。会社の就業規則に定めるセクハラに該当すると指摘しました。
原告が自己の発言の問題性を認識していないことも重視。戒告処分は相当であると判断しています。
■判決の要旨 「謝るような問題なんですかね」 発言の問題性を意識せず
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