ワールドカップに沸くなかで(深沢孝之)

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新・働く人の心と体の心理学 第52回 著者:深沢孝之

この原稿を書いている現在、我が国はワールドカップで大盛り上がりです。ドイツ、スペインというワールドカップ優勝経験国を撃破し、一次リーグを突破しました。そして今朝(12月6日)、クロアチアにPK戦で本当に惜しくも敗れました。ほとんど引き分け、最後は運といってもいい展開でした。日本代表チームはこれまでにない強さを見せてくれました。

一方で、第2戦のコスタリカ戦ではよいところなく負けてしまうなど、もろいところもありました。サッカーファンは勝つと大喜び、監督、選手をほめそやし、負けると完全な掌返しをします。その振り幅の大きさは、スポーツの中ではサッカーが一番ではないでしょうか。今回も世論、マスコミはそんな感じでした。日本代表の戦いが終わった今、すべてを称える雰囲気になっているでしょう。

ワールドカップのジャイアント・キリングに先立つ2カ月前に、もう一つのジャイアント・キリングがあったことを皆さん、お忘れではないでしょうか。そう、ヴァンフォーレ甲府の天皇杯制覇です。J2に低迷するヴァンフォーレ甲府が、なぜか天皇杯では無類の強さを発揮して、J1の5チームを次々に破って勝ち上がっていったのです。決勝のサンフレッチェ広島戦のPK戦で、チームの柱であるベテラン、山本英臣選手のPK が決まった勝利の瞬間は、本当に感動しました。甲府在住の甲府ネイティブの私も、テレビを見て泣いてしまいました。普段クールと言われる(?)私でもオイオイ涙を流すのだから、やっぱりサッカーは人の感情を揺さぶるスポーツなのでしょう。

日本サッカー界の活躍は、もちろん長年にわたる選手、関係者のたゆまぬ努力、サポーターの熱い声援の賜物ですが、サッカー界の外部から実力向上のための提言を行い、影響を与えてきた人たちもいます。私の知る中では、その代表が運動科学者・高岡英夫氏(運動科学総合研究所、日本ゆる体操協会)です。

高岡氏は、武道、武術、格闘技の研究から独自の身体運動理論を創り出し、能力開発のための体操やメソッドを数々開発して、プロスポーツ、学校スポーツ、老化対策、介護予防まで大きな成果を上げてきました。私は90年代頃から氏の活動に注目してきました。高岡氏は、オリックス時代の若きイチローを見て、将来世界的な大選手になる、と即座に予言したこともあります。まだ振り子打法の評価が定まらず、野手はメジャーリーグでは活躍できないと思われていた時代でした。その眼力には、確かのものがあります。

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