人間の脳は、人生百年を前提に設計されてはいない。加齢による神経細胞の減少から物忘れが増えることは確かだが、簡単に「認知症」と決めつけるのは早計だ。
そもそも脳の容量は有限であり、脳は機能を維持するために、必要な記憶の保存と不要な記憶の忘却を積極的に繰り返しているのだという。
脳神経外科学教授として臨床と研究を行う著者が、最新の脳科学から、脳と記憶のメカニズム、さらに忘れることの重要性を解説する。小さいころから刷り込まれた「忘れることは悪いこと」という思い込みを先ず忘れてみる。
人間の脳は積極的に忘れるようにできていることを、忘れてはならない。