■「非弁行為」には該当しないので 拠出金も規約にあるので合法
個別的権利紛争解決を行う労働組合の活動が弁護士法72条に違反しないと判断した裁判。組合員の利益を損ねたり、法律生活の円滑な営みを妨げないので同法の規定する非弁行為には該当しないとしました。また、労働側が獲得した解決金の一部を組合員から拠出させることも、組合規約にあれば足りる、としています。
■判決のポイント
原告はアルバイトとして勤務した後解雇に。解雇に納得できなかったため、被告である組合に加入して、会社との団体交渉を依頼します。組合が和解を成立させたところ原告は、意に反して和解を成立させたと主張して訴訟を提起。判決では、原告が自ら納得しているので、不法行為を行ったとは認められない、としました。
裁判では解決金の一部を組合活動の基金として納入することについて、この受領とそれを定めた規約が弁護士法72条に違反すると主張しました。この点、判決は、「弁護士法72条制定の趣旨は、弁護士は、基本的人権の養護と社会正義の実現を使命とし、広く、法律事務を行なうことをその職務とするもので」あり、資格もないものが自らの利益のために、みだりに他人の法律行為に介入することを放置する行為は禁止されるべきだが、労働組合が組合のために、団体交渉を行って和解させることは、みだりに他人の法律行為に介入する行為ということはできないし、組合員その他の関係者らの利益を損ねたり、法律生活の公正かつ円滑な営みを妨げるものとはいえない、と原告の主張を退けています。
■判決の要旨 組合員のための団体交渉は法律事務へのみだりな介入にあらず
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