■自由な意思形成を妨げてはいない 執拗な態様とまでは言えない
管理職に値しない成果しか挙げていない労働者への退職勧奨は、本人に精神的衝撃を受けさせるものではあるが、名誉感情を不当に害する表現が用いられているものではないことから、違法性はないと判断。売り上げが全くなく、貢献度も低いこと、会社のフォローアップ体制も認め、降格も違法ではないと判断されています。
■判決のポイント
違法な退職勧奨を受けたとして、損害賠償を請求した事件です。
原告は課長職相当まで昇格したものの、管理職のまま持病により休職と復職を繰り返しました。平成29年には、復職後に管理職として期待される成果を出していないと研修を受講。そこで「社外転身に活路を見出す方向でキャリアチャレンジを考えて欲しい」旨の資料を提示されます。
判決では、「社外転身に活路を見出す方向」との記載は労働者について「精神的衝撃を与えたことは想像に難くない」としながらも、「名誉感情を不当に害するような社会通念上許容されない表現も用いられていない」とし、退職勧奨が行なわれた研修が「参加者の自由な意思形成を妨げるほどの執拗さや態様で行なわれたとまでは認めることができない」と判断しました。
退職勧奨は「自由な退職意思の形成を妨げた場合に初めて違法となる」と判示。何が自由であるかが問われますが、転職支援内容が記載された書面を手渡し、転職を検討するよう促しただけでは「自由な意思形成を妨げるようなものであったとは認めがたい」としています。
■判決の要旨 退職勧奨自体は自由である 本来の目的を超えると違法
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