■連載:人事考現学(著者:山本圭子・法政大学法学部講師)
プロレスラーで元参議院議員のアントニオ猪木(敬称略)が逝去した。NHKが追悼番組を流し、その功績が再評価されている。猪木は国会議員としては型破りな闘魂外交を展開した。
しかし2013年には、国会会期中に、議院運営委員会(議運)理事会の了解を得ず、北朝鮮に渡航したために、懲罰動議を提出され可決された。
懲罰動議の可決は61年ぶりだという。猪木が事前に議運に提出した渡航計画書に不備がある(渡航先の活動内容が具体的に記載されていない)ので、了解されなかったという。政府が国民に北朝鮮への渡航自粛を要請していた時期だったのに強行渡航して、30日の登院停止処分となった。
国会議員への懲罰は、憲法58条の「(衆参両院は)院内の秩序を乱した議員を懲罰することができる。」が根拠で、国会法121条では、参議院は20人以上の賛成で懲罰動議を議長に提出できると定めている。122条で懲罰の種類を、「①公開議場における戒告、②公開議場における陳謝、③一定期間の登院停止、④除名」とする。猪木が受けた登院停止は除名に次ぐ重い処分だ。
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