■中小企業のための 役割行動主義人事による 組織風土改革プロジェクト成功の秘訣~社員自ら創る行動基準が会社を変える~ 第3回 なぜ「プロジェクト」なのか(堀之内克彦:㈱エムケーパーソナルセンター代表取締役、組織風土改革ナビゲーター、社会保険労務士、中小企業診断士 )
1 経営者と社員の信頼関係が組織風土を輝かせる
そもそも組織風土とは何でしょうか? 野村総合研究所『経営用語の基礎知識(第3版)』には、「企業の歴史の中で形成された独特の価値観や行動様式のこと」とあります。
例えば同じ日本企業であっても、ホンダとトヨタ、パナソニックとソニーでは組織風土が大きく異なることが知られています。トヨタは温厚で安定的、紳士的なイメージがありますが、ホンダは若さ、チャレンジング、やんちゃな風土をイメージする人も多いと思います。長い歴史と伝統を持つ業界トップ企業であるトヨタに対し、ホンダは二輪から四輪に参入した戦後の後発企業である歴史的背景や、本田宗一郎という強烈な創業者の個性も影響していると思われます。
本連載では組織風土を、「その組織が持つ社員の意識や行動の特徴的な傾向」と考えます。つまり、社員一人ひとりの意識と行動の総和が組織風土なのです。
◉カギは「成果」と「響働」
組織風土を表す言葉や捉え方は、学者によっても様々です。しかしここでは私は「成果意識」と「響働意識」の2つの軸で考えたいと思います。この2つは、どのような規模や業種であれ、事業に欠かすことのできない重要な要素だからです。
成果意識とは、自分の与えられた仕事に対して責任をもって成果を出そうとする意識や行動のことです。
響働意識とは、一緒に働いている職場の人たちと心がつながっていて成果を出せるようにチームとして協力して行動することです。
縦軸に成果意識、横軸に響働意識の高低で分けると4つの象限に区分されます(図表1)。
左下の成果意識も響働意識も低いゾーンは「腐敗」の風土です。昔の役所をイメージされるかもしれませんが、通常の企業では儲かる仕組みや商品がないと生きのびるのは難しいかもしれません。
一方、右上の成果意識も響働意識も高いゾーンが「ブリリアンス」の風土です。人も組織も輝き、進化成長するための理想の状態の風土です。
◉信頼は業績に繋がる
この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。