■グレード毎の定義が明確ではない 4年連続の減額で不利益が大きい
人事考課による賃金減額の10%を超える部分を無効としました。降給を実施する権限はあり、減額割合は評価したものの、グレードごとの役職などの定義が規定されていないこと、数度にわたる減額の問題を指摘。4年連続の減額で30万円の賃金が21万円まで減額されていたことの不利益が非常に大きいとしました。
■判決のポイント
被告はソフトウエアの企画を営む会社。原告は人事考課による減給が無効で不法行為に当たると主張しました。
判決は、評価制度の不合理や不当な目的がないことを確認。会社は業績評価を半期ごとに実施。基本給について、降給基準では行動評価の5項目が2・5以下などと定められ、行動評価の結果を降格基準にあてはめてグレードを下げる根拠があるので、基本給を下げる根拠規定は存在すると認めています。
一方、報酬について設定したグレード毎の定義(役職・職務内容・責任)が規定されていないと指摘。「権限行使によっては、なお減額幅決定権限の濫用により賃金減額の効力が否定される」としています。そして、「本件賃金減額は、連続する4年度にわたり毎年度繰り返し実施されていて、その結果、月額賃金が30万2390円から21万2090円に約29・8621%も減額されていて、減額結果の月額賃金は会社の認識する最低賃金を下回らない最低水準であったと認められ、原告の不利益は非常に大きい」と述べ、当初賃金30万2390円を10%減額した27万2151円を超える分を無効としました。
■判決の要旨 減額内容等により権利濫用 連続減額の不利益大きい
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