芸能人は労基法の労働者か Hプロジェクト事件(令和3・9・7東京地裁判決)

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■イベント参加の諾否の自由あり 「農業アイドル」は強制ではない

農業イベントに出演していた「農業アイドル」の労働者性が問われた本件は、イベントの参加の諾否の自由があったとして、労基法の労働者に該当しないと判断。プライベートや学業を圧迫したとしても、強固な指揮命令を及ぼしていたということはできない上に、報酬は労務の対償としての性質は弱いとも指摘しています。

■判決のポイント

農業イベントに参加していたアイドルグループのメンバー月子の保護者が原告となり、月子は労基法上の労働者であると主張。販売応援業務への労務の対価が最低賃金を下回るとして、その差額などを求めました。

判決は「グループ活動に参加するかどうかは月子自身が決めていたのであるから、仮にグループの活動が忙しくプライベートや学業の時間が圧迫されていたとしても、そのことゆえにグループ活動への参加を強いていたとか、強固な指揮監督を及ぼしていたということはできない」と請求を棄却しました。

原告はイベント参加に諾否の自由がない、と主張しましたが、9割程度のイベントに自らの意思で参加したと判決は指摘。「月子が必要」との会社からのメールが参加への強制であると原告は主張しましたが、それについては「はい、不参加でお願いします」と返信しており、これらのやりとりは諾否の自由を裏付けるものであると判決は述べています。参加を取りやめることが許されないのは「参加を決めた自らの先行行為に基づく当然の責任である」とし、従属を意味するものではないと断じています。

■判決の要旨 「不参加でお願いします」と返信 参加・不参加の自由はある

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