■中小企業のための 役割行動主義人事による 組織風土改革プロジェクト成功の秘訣~社員自ら創る行動基準が会社を変える~ 第2回 壁を越える本気の組織改革へ(堀之内克彦:㈱エムケーパーソナルセンター代表取締役、組織風土改革ナビゲーター、社会保険労務士、中小企業診断士 )
今回は、前回掲載した組織風土改革〇×クイズの回答例を一緒に考えてみたいと思います。
結論から先に申しますと正解はすべて×です。私が×だと考える理由をご説明していきます。
1 経営者と社員との大きな壁を まず理解すべき(①~⑤)
皆さんは、中小企業が組織風土の問題を抱える根本原因は何だと考えるでしょうか。それは経営者と社員相互の理解不足だと私は感じています。
中小企業社長の多くはオーナー経営者であり、会社の責任は一切自分が負い、決して逃げられないとの意識を持っています。経営者は会社にもしものことがあれば全資産を失う可能性がある一方、社員には簡単ではないにせよ転職という選択肢があります。この立場の違いは非常に大きく、お互いの理解を困難にする大きな壁があります。
そのため、経営者は「理解してはもらえない」からと強引に社員を動かし、あるいは社員の声に耳を傾けなくなります。一方、社員も「どうせ言っても無駄」とあきらめ、問題が起きないレベルで適当に仕事をするようになります。経営者は「ウチの社員は元気がない」「主体性がない」と感じてますます溝は深まり悪循環に陥っていく――これが多くの実態ではないかと私は思っています。
このような状況をイメージして考えると、①から⑤の答えはおのずと見えてきます。
①組織風土改革は、トップが自らリーダーシップを発揮して進める必要がある→×
理解不足を抱えたままトップダウンで進めれば、かえって問題を大きくする可能性すらあります。私がお手伝いした企業では、社長が自らプロジェクトを采配して改革を進めた結果、メンバーが数人退職してしまったという例がありました。
トップ依存型の風土を脱し次世代リーダーの育成につなげるためにも、トップは後方支援など、より重要な役割に徹する必要があります。
②経営者は、組織風土の課題や原因、対策を正確に認識している→×
上記の大きな壁が、経営者が社員の情報や不満を正しく認識することを難しくしており、組織風土の真の課題や原因を掴み切れていないことが少なくないのです。
また、組織風土の問題は、経営者にその多くの責任があるものです。社員だけを問題視して変えようとしたのでは、変革は難しいでしょう。
③中小企業は、知識や意識などの社員研修を徹底することで組織風土を変えることができる→×
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