休職命令の発せられた時期 高島事件(令和4・2・9東京地裁判決)

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■時季指定が明確ではない 始期と終期は明確なものに

年休取得中の休職命令とその結果としての休職期間終了による自然退職扱いは無効、と労働者は主張しました。しかし、判決は労働者の年休取得のための時季指定権が行使されていない、と判断。休職期間は経過しており、自然退職扱いは無効とは言えないとの結論になっています。

■判決のポイント

被告である会社の総務・人事部長であった原告は、医師から2カ月の療養が必要との診断を受けます。会社には「今月(6月)3日から年休をいただき、その後は病欠でお願いします」とのメールを送信していました。

会社は6月10日付で休職命令を発令。これについて原告は、休職命令は年休取得中に発せられているのであるから違法であり、休職命令の期間である同年9月9日を経過したことを理由とする原告に対する自然退職扱いも無効であると主張しました。

本判決では、年休は労働者の意思のみで就労義務を消滅させる効果があるのだから、「時季指定した休暇の始期と終期は明確なものであることを要するというべきである」と判示。「その後は病欠でお願いします」との文面は「一義的に明確ではなく、多義的な解釈が可能であ」り、現に会社側は「休職の発令日まで年休を取得し、その後は休職扱いにしてほしいと理解しているのであって、年休の終期を同月30日までにする時季指定権を行使したとは認められない」と判断しました。休職命令期間は経過し、自動退職扱いも有効としました。

■判決の要旨 一義的多義的な解釈ではなく明確なものであることを要す

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