降格での賃金減額の有効性 一般財団法人あんしん財団(降格)事件(令和4・1・31東京地裁判決)

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■グレードの順位から評価は妥当 考課裁量に濫用・逸脱はない

社員のグレードを引き下げる降格についての判例です。グレード毎の定義や降格の要件が明確であること、人事考課も適切であるとして、降格を認めています。賃金減額の幅が少なくありませんが、調整手当の支給や降格について、就業規則に規定されていること等を評価し、降格を有効と判断しています。

■判決のポイント

被告は中小企業の特定保険業を行う一般財団法人であり、原告Xは平成16年から就労しました。

平成30年と令和元年に行われた降格を無効として、降格前との差額賃金を請求しましたが、降格は有効と判断されています。

被告の前身はKSDで、いわゆるKSD事件発覚後の平成24年に経営改革を実施。グレード定義、昇格基準を設けた就業規則を改定し社員に周知しました。

原告は、平成27年から29年まで私傷病により休職。Y法人により労働者が退職や休職に追い込まれたとして組合に加入し活動を行いました。

平成30年には「直近4回の半期考課で『戊』以下を2回」という降格要件に該当するとし、グレード31万8000円から26万5000円に降格。令和元年には、平成30年と同様の理由で26万5000円から25万1000円に降格しました。

判決は、就業規則に降格について「十分な根拠が規定されていると認められる」とし、「当時のグレードであるG2の60名中50位であることを認め、考課についても、「裁量に濫用・逸脱があったと見ることはできない」としています。

■判決の要旨 給与規程でグレードを定義 降格に就業規則の根拠がある

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