■労働からの解放が保障されていない 業務がない時間を認めつつ
被告となった完全予約制の美容院が、来客がない時間は休憩時間であると主張。判決は実際に業務がない時間が相当程度あったとしながらも、労働からの解放が保障されていないとして、原告側の請求を認定。労働時間管理を一切しておらず、割増賃金不払いは悪質であると割増賃金と同額の付加金の支払いを命じました。
■判決のポイント
美容師が原告となり、1年間の時間外労働と深夜労働の割増賃金の支払いと労基法の付加金の支払いを求めた事件です。
被告の美容院は完全予約制であり、業務がない時間は自由に店舗を離れて休憩を取ることができた、と反論しました。
裁判でも、原告が担当していたパソコン業務は頻繁にあったわけではなく、他に3名の従業員がいたことから、来客がいない時間には、実際に業務をしていない時間が相当程度あったと推認。一方、当日予約も受け付けており、来客の有無にかかわらず営業終了まで開店し、電話があり得る状態であったことから、業務をしていない時間があったとしても「直ちに労働からの解放が保障されていたとみることはできない」としました。
本件では付加金請求について、労働時間の管理が一切されておらず、営業時間中に最大10時間勤務しており、「被告会社は割増賃金が生じ得ることは容易に認識し得たというべきであるから、割増賃金の不払に何ら理由はなく悪質であるといわざるを得ない」として、割増賃金と同額の30万9027円の付加金の支払いを美容院に命じています。
■判決の要旨 割増賃金が生じえることを 容易に認識し得たというべき
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