技能実習生への内定取消し エスツー事件(令和3・9・29東京地裁判決)

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■留学生の事情加味 慰謝料認める 内定取消も解雇権濫用で無効

日本語と専門知識を学び日本での内定を得た留学生が、入社1カ月前に突然内定取消しに。誠実な対応が無かったとして、給与の支払いと慰謝料が認められました。採用内定取消しを理由とした判例の枠組みに沿った判断を示しながら、就職先を日本で見つけるのが難しい留学生固有の事情も考慮されています。

■判決のポイント

システム開発の事業に参入するために留学生を採用。しかし、担当者が退職し、新規事業の見通しが立たなくなったことから、採用した留学生が内定取消しになります。

判決では「内定当時に予期し得ない事情により入社が困難になった場合に、内定を取り消すことができる」との判例に沿い判断。会社の財務状況の悪化を認めつつ、人員削減の必要性は正当化できないとしました。

担当者の退職が直接の原因となっていますが、勤務場所や職種が限定されていないのであるから、内定取消しを回避すべく、あらゆる手段を検討すべきであったところ、内定取消しが拙速であり、権利濫用で無効と判断されています。

損害額については、再就職先を見つけるのに1年半を要した者もいることから、6カ月分の給与相当の損害を認めています。

慰謝料については、「日本での就労に大きな希望を抱いていたところ、入社の1カ月前になって、被告から直接の説明も受けないまま突然、内定取消しとなり、再就職探しのほか、住まい、プライベートで多大な不利益を得たとして、慰謝料30万円と算定されました。

■判決の要旨 2週間後の取消は拙速すぎる 日本語能力確認していない

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