■懈怠までは認めることはできない 指導監督することは必要だが
消防本部の職員が、飲酒運転によりひき逃げ事故を起こした自動車に同乗。原告はその職員の上司です。事件当時は病気休暇中でしたが、監督不行き届きであると懲戒処分に。判決は、病気休暇期間中に指導監督を行うことはできないので処分は無効とし、処分が無かった場合に支払われた昇給分の支払いを命じています。
■本判決のポイント
原告は消防本部の消防長でしたが、部下のひき逃げ事件の発生時は病気休暇を取得していました。事件を起こした部下は懲戒免職処分となり、原告は上司として、戒告処分として減給1カ月・月額10%の懲戒処分となりました。原告は、処分を違法であるとして、取り消しを求めて訴訟を提起しました。
判決は、病気休暇取得中について、「管理監督義務の懈怠があったと認めることはできない」としましたが、休職前の期間については、部下職員に対する管理監督をすべき義務を負っているとし、その範囲は、地方公務員として私生活上の行為にまで及ぶ、としました。一方、所属する80名超の部下に対して、直接管理監督を行うことは不可能としました。
原告が会議において、公務員倫理意識や社会人としての自覚の徹底、飲酒運転防止についての職員への指導の指示を行い、年末には、飲酒運転や飲酒運転車両への同乗の禁止について注意喚起していたことを指摘。管理監督義務の懈怠があったとまでいう事はできないとして、処分が無かった場合の給与との差額の支払いが命じられています。
■判決の要旨 地方公務員の指導監督は 私生活上の範囲に及ぶが
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