■昇格請求と差額賃金を認める 俸給表に見合う就労実態から
社会福祉施設で働く女性労働者の昇格請求が認められた裁判。杜撰な就業規則の運用がうかがわれる事案となっており、原告に指示してきた職務内容や実際に担ってきた業務、昇格要件から、俸給表上の昇格を認め、人事の裁量は使用者にあるとしながらも、昇格を前提とした差額賃金の請求を認めました。
■本判決のポイント
被告である法人は平成29年4月から俸給表を運用。1級の給料は月額24万4500円。2級19号の給料は月額31万1400円。各種手当も設定していました。
職種職務別俸給基準表に各給に定めるキャリアパス要件に該当したときは、昇格させると定め、俸給表1級(一般)、2級(主任)について以下のように規定していました。
「1級の標準職務は職種の基本業務を行うもの。キャリアパス要件の資格なし」「2級の標準職務は難易の高い業務を行うもの。キャリアパス要件として3年以上6年未満の実務経験かつ介護福祉士の資格を有するもの」
原告の職務内容は平成23年3月までは一般的なものでしたが、平成23年になると被告の要請で各種研修を受講。平成24年には主任生活支援員に任じられ、主任会議への参加や部下への指導を行うようになります。
さらに、相談支援専門員としての就労を指示し続けていることから、判決は、俸給表2級に求められる能力があるのは当然のことで、「裁量を理由に昇格請求を否定することはできず、昇格を前提とした給与の請求をすることができる」としました。
■判決の要旨 昇格は当然には生じないが 俸給表に沿う就労を求めた
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