■国と企業の責任を認めず 屋外作業の濃度は屋内より薄まる
アスベスト訴訟のなかでも「屋外建設作業」が問題となった事件。粉じんばく露の表示を義務づけなかった国と、危険表示することなく建材を販売したメーカーへの損害賠償請求について、問題となった期間中には石綿関連疾患にり患する危険性を認識し得なかったとして、国やメーカーの責任を否定しました。
■事件のあらまし
屋外で建設現場のアスベストの切断や設置を行う屋根工として従事し、石綿粉じんにばく露したことにより、中皮腫にり患したとして、国に対し、安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが違法であると損害賠償請求を求めた事件です。
メーカーに対しては、危険があることを表示することなく製造販売したことが不法行為であるとして、損害賠償を求めました。
判決では、報告書の出版年から、粉じんによる危険性は平成13年から平成16年9月30日までの期間には、認識することができないので、平成14年から平成16年9月30日までの期間に、安衛法の規制権限を行使しなかったことは、著しく合理性を欠くものではないと指摘。メーカーに対しても同様の理由で、表示義務を負っていたということはできない、としました。
その間には、危険を認識し得なかったのだから、表示義務はなかったとの結論になっています。
さらに、屋外建設作業の石綿粉じん濃度は、屋内のそれを下回る、とも指摘。屋内と屋外の危険度の差を指摘し、国家賠償法の適用上違法ではないとしました。
■判決文の要旨 当時は危険認識できない 国家賠償法上、違法ではない
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