愛知県で3年前に開催された「あいちトリエンナーレ2019」(あいトリ)で、「慰安婦」を象徴した韓国人作家キム・ウンソン、キム・ソギョン夫妻の「平和の少女像」(平和の碑)など一時、公開中止となった「表現の不自由展・その後」で出品された12組を含む16組の作家の作品を展示する「東京2022」(東京展)が4月2日から5日までの4日間の日程で「くにたち市民芸術小ホール」(東京都国立市、芸小ホール)で開かれ、約1600人が訪れた。(臺宏士・ライター、写真も)
東京展は21年6月25日~7月4日、新宿区の民間ギャラリー「神楽坂セッションハウス」で開かれるはずだった。しかし、6月10日に実行委員会が開催を発表すると、「あいトリ」と同様、会場側には脅迫メールなどが送り付けられたり、会場周辺の住宅地では街宣車も乗り込むなどの中止を求める抗議活動が行なわれ、ギャラリー側から「近隣への迷惑」などを理由に会場の貸し出しを拒まれた。いったん、別の会場での実施を模索したが、実行委員会は最終的には「東京展」の開催自体を見合わせざるを得なかった。
「あいトリ」での展示で、激しい憎悪の標的となった主な作品は、「少女像」と、大浦信行氏の版画「遠近を抱えて」でコラージュした昭和天皇の肖像が燃えるシーンを収録した映像作品の「遠近を抱えてPartⅡ」(20分)の2点。今回の「東京展」では、「PartⅡ」の展示はなかった。実行委員会は「一人1点を原則とし、作家も了解している」と説明した。このためか、筆者が訪ねた初日(2日)に会場の周辺で行なわれた反対する人たちによる抗議の矛先は、もっぱら「少女像」に向けられていた。
今回の「東京展」をめぐっては連日、100人を超える警察官らが会場周辺を警備し、開催に当たって国立市や警察が20台以上の監視カメラを新たに設置したり、手荷物検査を実施したりしたこともあって、会場内での懸念された騒ぎや、不審物が送り付けられるなどの大きな混乱もなく閉幕日を迎えられた。
■1600人が来場
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