パワハラで米軍の責任は 国(在日米軍厚木航空施設)・パワハラ事件(令和3・11・22東京地裁判決)

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■民事特別法により国に代位責任 日米地位協定に基づく労務提供で

米軍基地内で就労する労働者が米国人上司からのパワハラで適応障害を発症したとして、米軍に対し損害賠償等を求めました。基地で働く従業員は間接雇用契約を締結。日米地位協定のもと米軍基地内の労災認定が十分に出来ないという問題があります。本件は米軍に代わって国が安全配慮義務を負うとしました。

■事件のあらまし

在日米軍基地で勤務する日本人へのパワハラと国の責任を認めました。

女性労働者は厚木基地の後方支援部で米軍関係者らの支援事務作業に従事していた2013年10月から、上司から「あなたはうそつきだ」「クビにしてやる」「やることすべて間違っている」などと叱責されていました。

判決は、上司という職場内の優位性を背景に人格権を侵害するものとして、パワハラを認定。女性労働者の適応障害と叱責との間に因果関係があるとしました。

米国がパワハラ防止義務を怠ったことは明らかと指摘。日本政府は米軍関係者へ労務提供するために女性を雇用する立場にあり、合衆国軍に安全配慮義務違反があると認め、民事特別法1条により、合衆国軍の代位責任を負う国に損害賠償責任を認めています。

駐留軍労働者に対する合衆国軍の不法行為に対しては、民事特別法によって、米軍ではなく国が代位責任を負う仕組みとなっています。

しかし、労務契約は私法上の契約であり、それは民事裁判権から逃れられないことからすると、パワハラという私的行為を免除した本判決の解釈には異論もあります。

■判決文の要旨 米国における最大級の侮辱言辞 パワハラで安全配慮義務違反

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