在宅勤務希望し雇止め ロバ―ト・ウォルターズ・ジャパン事件(令和3・9・28東京地裁判決)

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■新型コロナウイルスとテレワーク 感染リスクから退避する権利

新型コロナウイルスを契機として、労働者にテレワークの権利が認められるかが問われた裁判。令和2年3月当時はウイルスに関する知見が十分ではないことから、通勤の危険性が明らかではなく、危険性を具体的に予見できない以上、在宅勤務をさせる義務を会社は負わない、と判断しています。

■事件のあらまし

派遣社員である原告は令和2年2月、新型コロナウイルスに感染する不安を訴え、出勤時刻をずらし、在宅勤務を認めてもらうよう派遣先と調整してほしい旨を担当者に依頼しました。

担当者は理解を示し、時差出勤後に派遣先から在宅勤務の許可を得て3月から在宅勤務になりました。しかし、労働者が始業時刻を3時間早めて、終業時刻も早めて3時30分としたことを問題視。在宅勤務も打ち切りとなり、雇止となりました。

裁判は、「当時は知見が十分に集まっておらず、通勤によって感染する可能性があるか、具体的に予見できたと認めることはできないのだから」、「被告が、労働契約に伴う健康配慮義務又は安全配慮義務として、本件派遣先会社に対し、在宅勤務の必要性を訴え、原告を在宅勤務させるように求めるべき義務を負っていたと認めることはできない」と指摘しました。

在宅勤務措置を義務とするためには「感染が具体的に予見される」ことが必要、と判示しました。この判決では、時差出勤や在宅勤務を実現した会社の対応も配慮として認められています。

■判決文の要旨 知見はいまだ十分ではなく危険性の程度明らかではない

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