「同一労働同一賃金」は賃金の開示から

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■「同一労働同一賃金」 の賃金改革 厚労省ガイドラインに適応した新しいビジネスモデル(DKモデル®)構築 最終回 著者:赤津雅彦(あかつ まさひこ)

16 「同一労働同一賃金」は賃金の開示から

この連載も、8回目を迎え、いよいよ最終回になりました。

令和4年になっても日本は、経済発展でも世界にたち遅れ、もちろん人事制度でも世界に遅れています。このことは残念ながら事実です。

著者は賃金水準が低迷し始めた頃から、このことをあらゆるメディアを通して公表しようとしてきました。あるときは、出版社が当時の政府に忖度して、事実の公表を止められたこともありました。しかし、現実の姿が、大手のメディアでも取り上げられた昨今では、読者の方々がご存じのように、我先にと、同じ論調が流行するようになりました。本当のことを公表しようとしますと往々にして内容にバイアスがかかります。

もし海外経験の無い日本の経営者であれば、一度でよろしいので世界を見て回ることです。そうすれば、日本が実際に世界からどのように見られているか、気がつくはずです。特に「失われた30年」の間に、経済面のみならず日本人の生活や心の豊かさやに、どれだけの格差が拡大したかがご理解いただけるでしょう。

希有の技術やノウハウが、日本企業より高い賃金等を提示した中国をはじめとした外国の企業に移転し続けています。半導体技術に代表された日本の伝統的な技術は、日本の安い賃金が災いして、日本より高い賃金の国へと流出しています。このままでは、「モノやサービスが異常に安く、人件費が奴隷のように安い国」と世界中から揶揄されるでしょう。

今、世界中で起こっている若年層の行動現象のひとつに「ワークシフト」や「ライフシフト」があげられます。これらは、かつて日本が強みとした「あうんの呼吸経営」のような曖昧さがつきまとうやり方が、通用しなくなることを意味しています。企業はこれまでよりも具体的に、「我が社はどのような内容の職場環境を提供できるか」を公開し、より良い人材を引きつけ引き留める仕組みを構築し、改良を重ねる必要があるのです。キーとなるのが、「賃金制度」といっても過言ではありません。

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