欧州委が持続可能性デューデリジェンス指令案、1.7万社義務化

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■産業界から負担増の懸念

指令案が発表された同日の23日、欧州産業連盟(ビジネスヨーロッパ)は声明を発表。欧州企業はデューデリジェンスの枠組みを支持しており、多くの企業がすでに責任を果たしているとしたうえで、指令案は企業負担をさらに増やすもので、世界全域に広がるサプライチェーン全体を管理することは非現実的であり、取り組み可能なルールではないと述べた。

欧州商工会議所(ユーロチェンバース)は同日付の声明で、中小企業を対象から外したことを歓迎した上で、直接管理できない課題まで、対象企業の責任とすることはできないと批判した。欧州中小企業連合会(SMEunited)も同日声明を発表。同じく中小企業の対象除外を歓迎した上で、義務対象企業を通じた中小企業への負担増に懸念を示した。また中小企業を対象とした支援措置について評価し、施策の立案には中小企業団体との連携が必要だとした。

一方、指令案発表に先立つ2月8日には、ダノン、イケア、アビバなど100を超える企業や投資家、企業団体などが今回の提案を迅速に採用すべきとする共同声明を発表。セクターや規模に関係なくEU域内のすべての事業を対象とすべき、などを含む5つの原則を求めた。また21年10月には、総運用資産が6兆米ドルを超える94の投資家が、人権・環境デューデリジェンスを支持する声明を発表している。