来春待たず賃上げの動き 初任給引上げや物価高支援

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来春の労使交渉では物価を折り込み、賃上げ率6%を要求する労働組合もあるようだが、人材への投資という観点で一早く賃上げする動きが企業でみられる。

ニコン(東京都港区)は10月から、全従業員を対象に好業績時における業績連動型の賞与水準を引き上げた。また課長以上の役職者と高度専門人材に対しては、賃金を引き上げるとともに成果に応じた賞与のメリハリを拡大させる。

さらには、来春以降の入社者を対象に、新卒初任給の引上げにも着手。引上げ額は、博士卒・修士卒・学士卒が2万円、短大・高専卒が1万5千円、高卒が1万円。今年度の通期営業利益が見通しの550億円となった場合は、従業員の年収水準が現行制度比で平均約3%、一人あたり最大約20%増加する見通しだ。

ニコン社リリースから

WEB事業・人材事業を展開するDYM(東京都品川区)は10月3日、来年5月に総合職の給与を一律で5万円ベースアップすると発表。新卒の総合職社員の手当を含む初任給は例年より5万円高い40万円相当となり、即戦力となる優秀な人材の確保に繋げる。

他方で、物価高への従業員の生活支援に、「インフレ手当」の支給が主流になりつつある。

オリコン(東京都港区)は10月分の給与から、月額1万円の「インフレ特別手当」の支給を開始。グループの正社員・契約社員・嘱託社員・アルバイトが対象で、終了時期を定めず当面運用する。

ITサービスのバルテス(大阪府大阪市)は、1人当たり3万円の「インフレ特別手当」の支給を決定。9月末在籍が要件で正社員は10月25日、契約社員は11月15日を支給日としている。