労働者の家族は会社にとって、どんな意味があるのだろうか。そんなことを考えさせる事件だった。
経理を担当している社員が突然、出社しなくなったと知ったのは夏の終わり。中小零細企業の同社では、その失踪社員が会社の経理を掌握していた。
突然出社しなくなるような社員に、責任ある仕事を任せるべきではないのでは、と思われるかもしれない。兆候はなかった。いや、問題に気づいても、零細企業。デキる社員は多くはない。当該社員に業務が集中していた。当該社員は、30代。デジタル化等、業務改善を提案したが、社長は聞き入れなかった。
1カ月が過ぎても、パソコンには鍵がかかっている。社長自ら、現金封筒を業者に手渡している姿を見て、社員一同、昭和を感じた。
二代目の温厚な社長だが、現状を打破すべく、家族に連絡を取ることを思いついた。しかし、この会社は社員の家族の情報を把握していなかった。当該社員の同僚が、社員の兄弟を知っていると言う。その家族に即刻連絡を取るように、と社長。
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